妊娠悪阻とは?つわりとの違い・症状・治療法・入院の目安を徹底解説

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妊娠悪阻とは?
つわりとの違い・症状・
治療法・入院の目安を徹底解説

更新 2026.04.26
本記事は、厚生労働省・日本産科婦人科学会の公開情報をもとに、Amaria編集部が作成しています。情報提供を目的としており、医療アドバイスの代替となるものではありません。症状がつらい場合は、迷わず産婦人科医にご相談ください。「大げさかな」と思っても、電話一本するだけで大丈夫です。

水を飲んでも吐いてしまう。何日も何も食べられていない。立ち上がれない——。「つわりってこんなにひどいものなの?」「大げさかな」と思いながら、一人で我慢していませんか?

それは妊娠悪阻(にんしんおそ)かもしれません。妊娠悪阻は、つわりが重症化した状態で、医療的なサポートが必要です。「我慢すれば治る」ものではなく、放置すると母体に深刻な影響が出ることがあります。この記事では、症状・つわりとの違い・受診の目安・治療法・入院の基準・退院後の過ごし方まで丁寧に解説します🌿

1. 妊娠悪阻とは?

妊娠悪阻とは、つわりが重症化し、日常生活や健康維持が困難になった状態を指します。

医学的定義
妊娠に伴う嘔吐・食欲不振が重篤化し、脱水・栄養障害・電解質異常などを引き起こした状態(日本産科婦人科学会)
発症頻度
妊婦全体の約0.5〜2%が妊娠悪阻を経験するとされている
つわりとの違い
つわりは「妊娠に伴う自然な反応」だが、妊娠悪阻は医療的介入が必要な状態
編集部
編集部
Amaria Editor 「たかがつわり」と思って我慢している方が多いのですが、妊娠悪阻は放置すると入院が必要になるだけでなく、まれに母体に深刻な影響が出ることもあります。早めの受診が、結果的に一番の近道です🌿

2. つわりと妊娠悪阻の違い

一番わかりやすい目安は「水分が摂れているかどうか」です。水や経口補水液を飲んでもすぐ吐いてしまう状態が続いているなら、妊娠悪阻を疑って受診してください。

比較項目つわり妊娠悪阻
頻度妊婦の50〜80%妊婦の0.5〜2%
吐き気・嘔吐ある程度コントロールできる1日に何度も・水も飲めない
食事少量は食べられるほとんど食べられない
水分何とか摂れる飲んでも吐く
体重減少軽度または変化なし妊娠前の5%以上減少
尿の量通常程度極端に少ない・濃い色
日常生活工夫すれば何とかなる家事・仕事が全くできない
治療自己ケアで対応できることが多い点滴・薬・入院が必要なことも

3. 妊娠悪阻の症状

消化器症状

消化器症状
1日に何度も嘔吐する(5回以上が目安)
水・お茶・経口補水液を飲んでもすぐ吐く
食事が全くできない状態が数日続く
唾液が大量に出て飲み込めない

全身症状・脱水のサイン

全身症状・脱水のサイン
強いだるさ・立ち上がれない
めまい・立ちくらみ・動悸・息切れ
体重の急激な減少(妊娠前の5%以上)
尿の量が極端に少ない・色が濃い茶色・オレンジ色
口・皮膚が乾燥している・目がくぼんでいる感じ・頭痛・集中力の低下
⚠ 重症化サイン(緊急性が高い)

視力の変化・視野が狭くなった気がする、手足のしびれ・麻痺感、意識がもうろうとする、黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)——これらが出た場合は、すぐに救急を含む医療機関を受診してください。ウェルニッケ脳症などの深刻な合併症につながる可能性があります。

4. 今すぐ受診すべきサイン

以下のひとつでも当てはまれば、今日中に産婦人科に連絡してください

今日中に産婦人科に連絡するサイン
水を飲んでも吐いてしまう
1日5回以上嘔吐している
丸1日以上、食事も水分も摂れていない
尿の量がいつもより極端に少ない
体重が急激に減った(妊娠前から3kg以上など)
めまい・立ちくらみ・動悸・息切れがひどい
仕事・家事が全くできない状態が続いている
編集部
編集部
Amaria Editor 「こんなことで電話していいの?」と思わなくて大丈夫。「つわりがひどくて水も飲めません」と伝えるだけで、適切な指示をもらえます🌿

5. 妊娠悪阻の原因

つわりと同様、妊娠悪阻の正確な原因も完全には解明されていません。現在考えられている主な要因をご紹介します。

hCGの急激な上昇
妊娠8〜10週(hCGのピーク時期)に最も多く見られる。双子・三つ子など多胎妊娠ではhCGが高くなるため症状が重くなりやすい
甲状腺ホルモンへの影響
hCGが甲状腺を刺激する作用があり、一時的な甲状腺機能亢進が見られることがある(多くは自然に改善)
消化管の運動低下
プロゲステロンが消化管の動きを抑制し、胃の内容物が長く留まることで吐き気が強くなる
心理的・社会的要因
強いストレス・不安・サポート不足なども症状を悪化させる要因になる。「心が弱い」ということではない
遺伝的要因
母親や姉妹が妊娠悪阻を経験している場合、なりやすい傾向があるとされている

6. 妊娠悪阻の治療法

外来治療(通院で対応できる場合)

外来での主な治療
点滴による水分・電解質補給——脱水が軽度の場合は外来で点滴を行い帰宅できることも
制吐剤(吐き気止め)の処方——妊娠中に使用できる吐き気止めを処方してもらえる。市販薬は自己判断で飲まないこと
ビタミンB6の補給——吐き気を和らげる効果が研究で示されている。サプリや点滴で補給することがある
食事・生活指導——食べられるものを少量ずつ・水分をこまめに摂るなどの具体的なアドバイス

入院治療(重症の場合)

入院での主な治療
持続点滴による水分・電解質・ビタミン補給
制吐剤の点滴投与
栄養状態の改善(経管栄養・中心静脈栄養が必要なケースも)
安静・休養
⚠ 市販薬について

市販の吐き気止めや胃薬の中には、妊娠中に避けるべきものが含まれています。必ず産婦人科医に相談してから使用してください。

7. 入院になる基準と入院中の流れ

入院が必要になる主な基準

入院の目安
外来点滴を行っても改善しない
体重が妊娠前の5%以上減少している
血液検査で電解質異常・肝機能異常が見られる
尿検査でケトン体が強陽性(脱水・栄養不足のサイン)
日常生活が全く送れない状態

入院中の流れ

1
入院・検査

血液検査・尿検査で脱水・電解質異常・栄養状態を確認します。

2
点滴治療

水分・電解質・ビタミン(特にビタミンB1)を点滴で補給します。

3
安静・食事の再開

少しずつ食べられるものを試しながら、食事を再開していきます。

4
退院

水分・食事がある程度摂れるようになり、体重の減少が止まったら退院できることが多いです。入院期間の目安は数日〜1〜2週間程度(個人差があります)。

編集部
編集部
Amaria Editor 「入院するほどじゃない」と思って我慢してしまう方がいますが、入院は「弱い」ことじゃありません。体が限界のサインを出しているのに、それを無視することの方が赤ちゃんへのリスクになります🌿

8. 退院後の過ごし方

退院後も、しばらくは無理をしないことが大切です。

退院後の過ごし方
食事:食べられるものを・食べられる量だけ。一度にたくさん食べようとしない
水分:こまめに摂る。再び食べられなくなったらすぐ産婦人科に連絡
生活:家事は最低限でOK・パートナーや家族に頼む
仕事復帰:主治医と相談して決める。無理して「普通に戻ろう」としない
心:「こんなに弱くてごめんなさい」と思わなくていい。気持ちが沈む場合は産婦人科医や助産師に相談を
編集部
編集部
Amaria Editor 退院後も「また悪化したらどうしよう」という不安が続くことがあります。そういうときは一人で抱え込まず、産婦人科に気軽に電話してみてください。あなたを支える人がいます🌿

9. 妊娠悪阻と仕事・休業制度

制度内容
母性健康管理指導事項連絡カード産婦人科医が発行。職場に提出することで勤務軽減・休業の配慮を求められる
傷病手当金連続3日以上仕事を休み、給与が出ない場合に申請できる(健康保険加入者)。給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給
妊産婦の時間外労働制限希望すれば残業・深夜労働を断れる
休職・有給休暇の活用会社の規定に応じて活用を
傷病手当金について

妊娠悪阻で入院・長期休業になった場合、傷病手当金の対象になることがあります。申請には医師の意見書が必要なので、主治医に相談してみてください。

編集部
編集部
Amaria Editor 「会社に迷惑をかけたくない」という気持ちはわかりますが、体と赤ちゃんが最優先。使える制度はしっかり使って、安心して休んでください🌿

10. Amariaまとめ

「我慢することが、赤ちゃんへの愛情ではありません」

妊娠悪阻は、あなたの意志が弱いのでも、心が弱いのでもありません。ホルモンの変化によって体が限界を超えてしまっている状態です。助けを求めることは、赤ちゃんを守ることです。

  • 妊娠悪阻は妊婦の0.5〜2%が経験する重症のつわり
  • 「水も飲めない」「5回以上嘔吐」「体重急減」が受診の目安
  • 外来点滴・制吐剤・ビタミンB6補給が主な治療法
  • 重症の場合は入院(数日〜2週間程度)で点滴・安静治療
  • 傷病手当金・母性健康管理指導事項連絡カードなどの制度を活用
  • 退院後も無理せず、再び食べられなくなったらすぐ産婦人科に連絡

産婦人科に電話する。それだけでいい。今日、一歩踏み出してみてください🌸
Amariaはいつも、あなたの隣にいます。

11. よくある質問(Q&A)

Q
妊娠悪阻になると赤ちゃんへの影響はありますか?
A
適切に治療を受ければ、多くの場合赤ちゃんへの深刻な影響はありません。ただし重症・長期化した場合は低出生体重などのリスクが上がることがあるため、早めの治療が大切です。
Q
妊娠悪阻は二人目でもなりますか?
A
一人目で妊娠悪阻になった方は、二人目でもなりやすい傾向があるとされています。ただし軽くなるケースも多く、一概には言えません。
Q
点滴を打てば楽になりますか?
A
多くの方が点滴後に楽になったと感じます。水分・電解質が補給されることで、症状が改善することが多いです。
Q
妊娠悪阻でも赤ちゃんは育っていますか?
A
はい。適切な治療を受けていれば、赤ちゃんはママの体の蓄えから栄養をもらって育ちます。
Q
妊娠悪阻はいつまで続きますか?
A
多くの場合、妊娠12〜16週ごろに改善してきます。ただし個人差があり、妊娠後期まで続く方もいます。

12. 次に読む記事

⚠ 免責事項・医療に関するご注意
本記事はAmaria編集部が、厚生労働省・日本産科婦人科学会・ACOG・e-ヘルスネット・日本産婦人科医会の公開情報をもとに作成した情報提供記事です。個人の医療判断・診断・治療の代替となるものではありません。症状がつらい場合は、迷わず産婦人科医にご相談ください。
References
  • 厚生労働省「妊娠・出産について」www.mhlw.go.jp
  • 日本産科婦人科学会「妊娠悪阻について」www.jsog.or.jp
  • e-ヘルスネット(厚生労働省)
  • 日本産婦人科医会 一般向け情報
  • American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG)「Nausea and Vomiting of Pregnancy」
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